考えすぎて眠れない夜の過ごし方|五感を満たしてゆったりと

誰かに話したい・愚痴

夜、布団に入るのが憂鬱な日があります。

きっと横になっても、昼間の出来事を思い出したり、明日を心配したりして、すぐには眠れないからです。

考え事をやめようとしても、次から次へと浮かんでくる後悔。

なぜ、あのときミスをしてしまったんだろう……。
何度も寝返りを打つ。

明日も仕事なのに、寝不足でまた失敗するかもしれない。
眠れないことに焦り、ますます眠れなくなる。

今夜も、悪循環に陥ってしまいそうだなと思うとき、私は眠る前に、せめて15分だけでも楽しく過ごせる時間を作るようにしています。

好きな映像を眺めたり、ノートを広げたり、ふだんは聴かない音楽に耳を傾けたり。
眠れない夜、みなさんはどのように過ごしていますか?

今回は私のお気に入りの、夜の過ごし方を紹介します。

考えすぎて眠れないのはどうして?

昼間は仕事や家事、雑用などに追われて、あっという間に時間が過ぎていきます。

ところが夜になり、周囲が静かになると、昼間は気にならなかったことまで記憶に蘇ってくるのです。

「あのとき、どうしてあんなことを言ってしまったんだろう」
「明日の仕事、うまくいくだろうか」

過去の出来事を何度も思い返したり、同じ問題について繰り返し考えたりすることを、心理学では「反すう思考」と呼ぶのだそうです。

特にストレスや不安を抱えていると、こうした考えが止まらなくなる傾向があるとのこと。

眠れない夜は、体の感覚を満たそう

眠れないかも……と不安な夜は、頭の中のもやもやにフォーカスを当てるのではなく、五感に意識を向けてみませんか。

視覚|好きな映像の世界に浸る

ドラマや映画ではなく、ドキュメンタリーやクラシックの演奏風景など、ゆったりと流れる映像を、音楽のBGMのように流してみます。

ハラハラ・ドキドキするドラマや映画は興奮を高め、寝付きを悪くするかもしれません。
ストーリー展開が気になる作品は、早い時間帯に見るのがおすすめです。

眠る前は、ふだんなら退屈してしまうような、おだやかな作品がいいかも。
じっくり観なくてもいいから。

ストレッチをしながらチラ見する程度でも、不思議と心が安らぐことがあります。

私が特に好きなのは、次の2本です。

『坂東玉三郎「東京蜃気楼」』(1997年製作)

人間国宝の歌舞伎俳優・坂東玉三郎さんを追ったドキュメンタリー映画です。

1997年製作なので、今から約30年前の東京の景色を背景に、玉三郎さんの考え方が、彼自身の言葉で語られていきます。

東京から彼が連想する言葉が並べられるのですが、
「影」「遠い上り坂」「孤独」など、淡いブルーを感じさせる、一人ぼっちの言葉が連なるのが印象的でした。

舞台の華やかな玉三郎さんとは、また違う一面に触れられる作品です。

玉三郎さんの言葉や考え方が、インスピレーションを与えてくれるかも。
でも、言葉を追いかけずに、30年前の東京の風景をぼんやり眺めているだけでもいい感じです。

いろいろな楽しみ方のできる映画だと思います。

▶『坂東玉三郎「東京蜃気楼」』

『場所はいつも旅先だった』(2021年公開)

『暮しの手帖』の元編集長であり、エッセイストなど、さまざまな方面で活躍する松浦弥太郎さんが監督した映画です。

世界5カ国・6都市を旅して撮影された映像は、画集を眺めているようです。

朗読を担当するのは、脚本家・演出家の小林賢太郎さん。
静かな語り口が、映像の光と影をより印象的に浮かび上がらせています。

まだ眠りの領域にある、深夜と夜明けの間の時間。
そして、やがて日が昇る早朝の時間。

カメラが見つめるのは、世界のさまざまな街で暮らす人々の姿です。

早朝から働く人々、街の風景、ダイナーやカフェの朝食の一皿。

遠く離れた国でも、誰かの一日が始まり、誰かの夜が終わっていきます。

知らない街の何気ない風景。
特別な事件が起こるわけではありません。

しかし、それがもし深夜なら……。
それだけでも、ドラマの予感がします。
そんな旅の楽しみを味わえます。

▶『場所はいつも旅先だった』

聴覚|耳から知らない世界を訪ねる

目を閉じていても楽しめるのが、音の世界です。

音楽や人の声に耳を傾けていると、それまで頭の中を占めていた考え事から、少し離れられるかもしれません。

いつものお気に入りを聴くのもいいけれど、ふだんは選ばないジャンルに挑戦してみるのも面白いのでは?

音楽|民族音楽などいつもと違う音に出会う

たとえば、アフリカの民族音楽やインドの古典音楽。

初めて耳にする楽器の音色やリズムには、知らない土地を旅するような楽しさがあります。

🎧 おすすめスポティファイプレイリスト
▶African traditional music

アフリカ伝統音楽のプレイリストです。
西アフリカの弦楽器「コラ」や美しい歌声、アコースティックな響きを堪能できます。

▶Sitar – Best of
北インドの伝統楽器、シタール(Sitar)のプレイリストです。
巨匠ラヴィ・シャンカルをはじめとする伝統的な録音から、現代的なシタール楽曲まで幅広く網羅されています。

伝統話芸を楽しむ

落語や講談など、日本の伝統話芸に耳を傾けるのも、楽しいのではないでしょうか。

心が和む人情話や、季節の風景が浮かぶ長尺の演目は、夜のBGMにぴったり。
柳家小三治さんや古今亭志ん朝さんの大らかな語り口は、目を閉じているだけで心が長屋の暮らしがあった時代にタイムスリップするようです。

タイマーをセットして、眠りながら聞くのもいいですよね。

🎧 おすすめスポティファイプレイリスト
▶落語傑作選
sharonさん提供のプレイリストです。
「抜け雀」「船徳」「火焔太鼓」などの名作が詰まっています。

ポッドキャスト|誰かの話を聴く

ポッドキャストには、ラジオ番組とはまた違った面白さがあります。

ふだんは接点のない人たちの会話や、自分の知らない世界の話を聴けるのが魅力です。

私のお気に入りの一つが、小泉今日子さんの『ホントのコイズミさん』。

キョンキョンが、本や本に関わる人たちと対談する番組です。
彼女の声も語りの抑揚もとても魅力的なので、ぜひ。

2023年9月、第120回で配信を終了していますが、何度でも聴きたくなります。

私のお気に入りは、第88回と第89回。
歌人の穂村弘さんをゲストに迎え、言葉の世界について語り合う回です。

▶Spotifyで『ホントのコイズミさん』を聴く

Audible|朗読を聴きながら夜を過ごす

本を読むのが好きでも、夜になると文字を追うのが億劫なことがあります。

そんなときは、オーディオブックという選択肢もあります。

AmazonのAudible(オーディブル)は、プロのナレーターや俳優などによる朗読を楽しめるサービスです。

スマートフォンで再生したら、あとは画面を見なくても物語を楽しめます。

小説はもちろん、エッセイや実用書など、ふだんは読まないジャンルを試してみるのも面白いでしょう。

こちらも、スリープタイマー機能を利用して、ベッドの中で聞くのもおすすめです。

今夜は誰かの声に耳を傾けたい。
そんな気分の日に利用してみてはいかがでしょうか。

🎧 耳で聴くという読み方もあります

頭の中で同じ考えがぐるぐる回る夜は、
目を閉じて、誰かに物語を読んでもらう。
それだけで、考え事から少し離れられるかもしれません。

小説やエッセイ、実用書まで、プロのナレーターによる朗読で楽しめます。
無料体験から聴き始められます。

触覚|手を動かして、心を遊ばせる

私にとって、紙のノートに書くことは、心を穏やかにしてくれる最も手っ取り早い方法の一つです。

ペンを手に取り、紙に文字を書いたり、シールを貼ったり。
手を動かすことに夢中になる時間も、眠れない夜の楽しみです。

好きなものを集める、残すノート

・自分が気持ちいいと感じる物事や、好きな場所を言葉やイラストで表現してみる。

・好きな歌手、好きな小説、映画、好きな場所。好きなものをコレクションして、リストアップする。

・好きな歌の歌詞や詩、短歌を書き写す。

・雑誌を切り抜いたり、シールやマスキングテープを使ったりして、コラージュを楽しむ。

・今日出かけたお店のレシートやショップカード、買った商品の包み紙をノートに貼る。

そんなコレクションも、紙のノートならではの楽しみです。

日々の記録を残すのもいいでしょう。
三行日記でもいいし、寝た時間や起きた時間、歩数などを記録するジャーナリングも、長い文章を書かなくていいので続けやすいと思います。

書いても書かなくてもいい、そんなスタンスで、気の向いたときにノートを書いています。

それなのに、時折パラパラと読み返すと記憶がよみがえります。
その時間も好きなのです。

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心の中のモヤモヤを吐き出して、捨てるノート

頭の中にあるものを、とにかく何でも書き出すノートです。
「ブレインダンプ」と呼ばれる方法に近いものです。

ブレインダンプとは簡単に言うと、頭に詰まったモヤモヤを、ダンプカーが土砂を吐き出すように書き出すというものです。

また、ジュリア・キャメロンの著書『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』で紹介されている「モーニング・ページ」にも通じる手法です。

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モーニング・ページは本来、朝に行うものですが、私は夜に書くことも多いのです。

今、悩んでいることや心配なことがあれば、どんどん書きます。

・◯◯さんに「おはようございます」と挨拶したのに無視された

・課長がいつも不機嫌でモチベーションだだ下がり

・今年の冬はコートを新調しようか……

などなど。

もし書くことがなければ、「書くことがない」を繰り返すだけでもいいのだそうです。
そうしていると、ふと心の奥底にしまい込んでいた言葉が湧いてくることもあります。

このノートは、基本的には読み返しません。
一冊たまったら、捨ててしまいます。

もし、いいアイデアが浮かんだら、別のノートに書き写しておくといいかもしれません。

自分でも読み返さないし、誰にも見せないノートだから、どんなことを書いてもかまわない。

その安心感が、ストレスを解き放ってくれます。

たとえば、「○○さん腹が立つ! 嫌い!」とか。

きれいな文章にする必要も、誰かに理解してもらう必要もありません。

頭の中では形にならなかった気持ちが、紙の上では言葉になることがあります。

そうして、心の中にあるものを外へ出してあげる。

読み返す必要がなければ、ぽいと捨てちゃいましょう。

書いた紙を処分することが多いなら、ページを切り離しやすいノートも便利です。

たとえば、コクヨの「ソフトリングノート(ビジネス)」は、リングがやわらかく、書くときに手が当たっても気になりにくいノートです。
ページにはミシン目が入っていて、書いた紙をきれいに切り離せます。

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手芸|小さなものを手作りする

音楽やポッドキャストを聴きながら、手芸をするのも楽しいですね。

編み物、刺繍、手縫いの小物作りなど。

自分だけのオリジナルグッズを作ってみます。

コスメや小物を入れるミニポーチなど、小さなものなら比較的短い時間で完成するので、手軽に満足感を得られます。

完成品が手軽に仕上がるキットもおすすめです。

材料一式が揃っているので、わざわざ買い揃える必要もありません。

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嗅覚|好きな香りに包まれる

マッサージ

お風呂上がりに、好きな香りのオイルやクリームを手に取って、ハンドマッサージやフットマッサージを行います。

手のひらでクリームを伸ばしながら、指先や足をゆっくりほぐす。

好きな香りに包まれて、肌もしっとりすると、それだけで満足感があります。

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睡眠前のリラックスにぴったりな、肌に優しく香り高い定番アイテムです。

好きな香りを楽しむ

マッサージだけでなく、ボディローションやアロマキャンドル、香水など、好きな香りを数種類用意しておくのもいいでしょう。

その日の気分に合わせて、好きな香りを選んでみませんか。

誰かに会うわけではなく、自分のためだけに香水をつけてみる。

そんな小さな楽しみでも、夜の時間を特別なものにしてくれます。

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なお、お香やアロマキャンドルは、火をつけたまま眠らないようにご注意を。

味覚|飲み物をゆっくり味わう

お気に入りのカップを取り出して、温かい飲み物を用意する。

それだけでも、夜の楽しみが一つ増えます。

ハーブティーやココア、ノンアルコール飲料など、その日の気分で選んでみてはどうでしょうか。

たとえばハーブティーなら、カモミールやルイボスなど、種類によって香りも味もさまざまです。

カモミールは、リンゴを思わせる香りが特徴。

ルイボスには、紅茶とは少し違った独特の風味があります。

気になるお茶を少しずつ買って、飲み比べてみるのも楽しいものです。

ハーブティーに慣れていない人には、ティーバッグタイプが手軽です。

生活の木の「有機カモマイル・ジャーマン ティーバッグ」は、リンゴに似たやさしい香りを楽しめる商品です。

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今夜はどんな味にしようか。
そんなことを考えながら、お湯を沸かす時間もいいものです。

本と過ごす夜

映画や音楽、手仕事を楽しんだあとでも、布団に入ると再び考え事が始まることがあります。

そんな夜には、本の中に眠りのヒントを探してみるのも一つの方法です。

ここでは、考えすぎて眠れない人に向けた実用書を一冊紹介します。

『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』大嶋信頼

楽しい夜の時間を過ごしても、いざ布団に入ると寝つけない。

そんなときは、こちらの本で「無意識さん」の力を借りる方法を学んでみてはいかがでしょうか。

心理カウンセラーの大嶋信頼さんが、催眠療法をベースに、無意識への働きかけを紹介する実用書です。

といっても、難しい技術やややこしい手続きは必要ありません。

著者が提案するのは、いくつかの「魔法のフレーズ」を頭の中で唱える方法。

考えすぎて眠れないとき、意識の働きを少し手放してみるというアプローチです。

実践的な内容ですが、私はそのメソッドよりも、読後にあるイメージが頭いっぱいに浮かんできたのが印象的です。

それは、お母さんの胸に抱っこされて、おっぱいをたっぷり飲んでいた、赤ちゃんだった頃の私の姿です。

その頃の記憶はないはずなのに、お腹いっぱいになって満足し、安心して眠っていた記憶のようなものが浮かんできたのです。

そんな優しいメッセージに満ちた一冊だと感じました。

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本を読むことで別の世界へ入りたい夜には、小説もおすすめです。
当サイトでは、孤独な夜にそばに置いておきたい5冊を紹介しています。

▶孤独な夜に読みたい小説5選|眠れない夜、この物語がそばにいてくれた

まとめ|眠れない夜にも、自分の好きな時間を

考えすぎて眠れない夜。

頭の中をぐるぐる回る心配事を、無理に止めようとしても、なかなかうまくいかないものです。

そんなときは、眠る前に少しだけ、自分の好きなことをする時間をつくってみませんか。

・映画の風景を眺める
・知らない音楽に耳を傾ける
・ノートに好きな言葉を集めたり、心の中のモヤモヤを書き出したり
・好きな香りや飲み物を楽しむ

もちろん、疲れ切っている夜には、何もしなくても構いません。

その日の気分に合わせて、自分に合う過ごし方を選んでみてください。

ただ、悩みそのものが大きく、どうしても一人では抱えきれないときは、誰かに話を聞いてもらうという選択肢もあります。

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また、眠れない状態が続き、日中の生活に支障が出ている場合は、我慢せずに医療機関への相談も考えてみてください。

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